経営者プロフィール
三田 真由美氏/株式会社MAYU恩 代表取締役。名古屋で約30年、ヒップホップダンスやエアロビクスの指導に携わり、子どもから大人まで多くの人の成長を支えてきた。東京では高齢者向けの筋力トレーニング指導も経験。ダンスと英語を取り入れた児童発達支援・放課後等デイサービス「ON-Bright Kids」の立ち上げを準備している。
株式会社MAYU恩は、名古屋市瑞穂区で児童発達支援・放課後等デイサービス「ON-Bright Kids」の開所準備を進めている。2026年9月のオープンを予定し、ダンスと英語を取り入れた療育を通じて、子どもたち一人ひとりの「できた!」を大切にする支援を目指している。
代表を務める三田真由美氏は、名古屋で約30年にわたりヒップホップダンスやエアロビクスの指導に携わり、子どもから大人まで多くの人の成長に関わってきた。その後、東京では高齢者向けの筋力トレーニング指導にも取り組み、人との関わり方や信頼関係の築き方を学んだという。
「踊っているときの子どもたちの笑顔が、キラキラしている。その笑顔を見るのが好きなんです」。そう語る三田氏が、なぜ福祉の領域で新たな挑戦を始めるのか。ダンスを通じた療育への想い、家族への寄り添い、そして立ち上げ期だからこそ一緒につくりたい組織の姿についてうかがった。
ダンス指導で見てきた、子どもたちの「キラキラした笑顔」
ーーまず、現在準備されている事業内容を教えてください。
三田真由美:
名古屋市瑞穂区で、児童発達支援・放課後等デイサービス「ON-Bright Kids」の立ち上げを準備しています。発達に特性のあるお子さんや、支援を必要とするお子さんに向けて、遊びや学習、日常生活の支援を行いながら、子どもたちの成長や自立を支えていく事業です。
特徴としては、ダンスと英語を取り入れたいと考えています。ただダンスを教えるというより、一緒に踊って楽しい、体を動かして楽しい、その中で「できた!」という経験を重ねてもらう場所にしたいです。
ーーこの事業を始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
三田真由美:
私は名古屋で約30年、個人事業としてヒップホップダンスやエアロビクスを教えてきました。子どもから大人まで幅広く関わっていて、多いときは週に25本ほどレッスンをしていました。
踊っているときの子どもたちの笑顔って、本当にキラキラしているんです。その笑顔を見るのが好きで、長く続けてきました。ダンスっていいな、人が変わるきっかけになるなと感じていました。
その後、東京で高齢者向けに筋力トレーニングの指導を8年ほど行いました。トレーニングを通じて体が変わったり、できることが増えたりすると、皆さんが笑顔で教えてくださるんです。相手の体のことを知ったうえで接することが、信頼につながるのだと学びました。
そうした経験がある中で、児童発達支援や放課後等デイサービスの話を聞きました。これからの人生では、自分の経験を社会貢献につなげたい。そう思ったことが、立ち上げの大きなきっかけです。
ーー福祉の領域に関わるうえで、大切にしたい考え方はありますか。
三田真由美:
ダンスを「教える」だけではなく、一緒に踊って楽しいと感じてもらうこと。その楽しさの中に、療育の視点を持つことを大切にしたいです。
また、親御さんが子どもに対して「障害」というラベルを貼ってしまうことで、可能性を閉ざしてしまうこともあるのではないかと感じています。もちろん支援は必要です。でも、その子が持っている力や可能性を見て、一つひとつ伸ばしていける場所にしたいです。
「ただ預ける場所」ではなく、笑顔になって帰れる場所へ
ーーON-Bright Kidsのサービスの特徴や強みは、どこにありますか。
三田真由美:
親御さんへの寄り添いを徹底したいと考えています。子どもの後ろには、必ず親御さんがいます。お子さんだけを見るのではなく、親御さんの想いも受け止め、承認しながら関わっていきたいです。
もう一つは、ダンスを通じて楽しさや礼儀も身につけてもらうことです。体を動かすこと、音楽に合わせて表現すること、仲間と一緒に取り組むこと。その中で、社会性や自己肯定感を育んでいきたいです。
将来的には、発表会やイベントにも出られるようになってほしいと思っています。子どもたちが人前で表現し、「できた!」と感じられる機会をつくりたいです。
ーー利用者さんやご家族と関わるうえで、大切にしたいことを教えてください。
三田真由美:
まずは想いを受け止めることです。親御さんには、それぞれ不安や悩みがあります。そこに対して「そうですよね」と受け止めながら、感謝の気持ちを大切にして関わっていきたいです。
ただ預けられる場所にはなりたくありません。親御さんに少しでも安心してもらうことはもちろんですが、「あの施設は楽しいよ」「子どもが笑顔になって帰ってくるよ」と思っていただける場所にしたいです。
ーースタッフの方々には、どんな姿勢や価値観を大切にしてほしいですか。
三田真由美:
一番は、子どもが好きであることです。仕事というカテゴリーを超えて、一人ひとりの子どもと向き合える人と一緒に働きたいです。
また、ワンチームで動くことも大切にしたいです。報告・連絡・相談、情報共有を徹底しながら、一人ひとりの子どもに合わせて柔軟に関わる。子どもによって必要な関わり方は違うので、個性を見ながら接していけるチームにしたいです。
否定せずに受け止める。感謝を伝え合える組織をつくりたい
ーー組織づくりで意識していることはありますか。
三田真由美:
上に話しにくい、悩みをあげにくい組織にはしたくありません。どんな悩みでも話せる体制をつくりたいです。急に辞めることが分かるような組織ではなく、普段から相談できる関係性を大切にしたいです。
私には、憧れのマネージャーがいました。その方は、徹底的に否定せずに受け入れてくれる人でした。何かを話したときに、まず「そうだよね」と聞いてくれる。シャットアウトしない。その姿勢がとても印象に残っています。
ーー筋力トレーニング指導の経験も、組織づくりに影響していますか。
三田真由美:
はい。筋トレ指導をしていたとき、私はトップを狙う、数字を追うという気持ちが強いタイプでした。そんなときにマネージャーから、「伝えたいメッセージが伝わっていれば、結果につながらなくてもいい。思いやりの気持ちを持つことがすべてで、毎日感謝を伝えられているかを考えなさい」と言われたんです。
その考え方を持つようになってから、感謝を伝えている自分が好きだと思えるようになりました。感謝を返してもらえることで、お互いに気持ちよくなれる。そのときの表情を見るのが好きなんです。
ON-Bright Kidsでも、そういう関係性を大切にしたいです。スタッフ同士も、子どもや親御さんに対しても、感謝を伝え合える場所にしたいです。
ーー未経験者や若手を育てるうえで、大切にしたいことは何ですか。
三田真由美:
私自身も、この業界では初めての挑戦です。だからこそ、経験がある・ないに関係なく、一緒に立ち上げていける仲間として、相談しながら進めていきたいです。
失敗は怖いものではなく、学ぶことだと思っています。失敗を恐れずに挑戦してほしいですし、できたことをしっかり褒めることも大切にしたいです。
立ち上げ期だからこそ、みんなの理想を形にできる
ーー現在、事業運営で課題に感じていることはありますか。
三田真由美:
初めての起業なので、本当に手探りです。目の前の課題を一つひとつ学びながら進めていくしかないと思っています。求人票をつくるだけでも、知らないことがたくさんあり、時間がかかりました。パソコン操作も慣れていない部分があり、日々学びながら進めています。
でも、想いがあっても、資金や準備が整わなければ形にはできません。法人としての手続きや採用、広報など、やるべきことは多いですが、一つずつ乗り越えていきたいです。
ーー今後、3年後・5年後に会社をどのような姿にしていきたいですか。
三田真由美:
最初から、2店舗目の構想も持ってスタートしています。まずはON-Bright Kidsで、ダンスと英語を軸にした支援をしっかり形にしていきたいです。
そのうえで、2店舗目はまた違うコンセプトにしても面白いと考えています。たとえば音楽療育など、子どもたちの可能性を広げられるテーマはたくさんあります。将来的には、東京での展開も考えています。
ーー福祉医療介護業界全体に対して、感じていることはありますか。
三田真由美:
まだまだ業界について学んでいる途中ですが、福祉・医療・介護がもっと連携していけたらいいなと思っています。
今は、医療と介護に関わる方々が集まる場にも参加しながら、情報収集をしています。これからもっと業界の方々とつながり、遠慮せずに学び、発信していきたいです。
求職者へ。オープニングスタッフとして、人生の集大成を一緒につくりたい
ーー今後の事業展開に向けて、どんな仲間に加わってほしいですか。
三田真由美:
子どもが好きで、一人ひとりと向き合える方に来ていただきたいです。そして、立ち上げのタイミングだからこそ、自分の主体性を持って関わってほしいです。
ON-Bright Kidsは、これからみんなでつくっていく場所です。何もないからこそ、皆さんの理想を叶える環境を用意できると思っています。オープニングスタッフの皆さんと、それぞれの人生の集大成のようなサービスをつくり上げていきたいです。
ーー採用や広報の面で、今後取り組みたいことはありますか。
三田真由美:
SNSの活用をもっとしていきたいです。いろいろ触っていく中で、SNSの魅力を感じています。媒体の活用や発信が得意なメンバーにも、ぜひ加わってほしいです。
採用については、面接では良いことを言う方も多いので、採用後に本当に合うかどうかは大切だと感じています。前職時代には多くの面接に関わり、採用後に残る方が限られるという経験もしてきました。結局は相性も大切ですが、安心して一緒に働ける仲間と出会いたいです。
ーー最後に、利用者さん・ご家族・求職者・地域の方へメッセージをお願いします。
三田真由美:
ON-Bright Kidsは、地域に根づいた場所にしていきたいです。一人ひとりに寄り添い、より多くの笑顔を生み出し、地域の皆さんに愛されるサービスを提供したいと思っています。
子どもたちが「できた!」と感じられる瞬間を増やし、親御さんにも安心していただける場所をつくります。そして、一緒に働くスタッフとも感謝を伝え合いながら、温かいチームをつくっていきたいです。
編集後記
三田氏の話から伝わってくるのは、ダンスやトレーニングを「技術指導」としてだけ捉えず、人が変わるきっかけ、笑顔が生まれる瞬間として見つめてきた実感だ。子どもたちが踊るときの表情、高齢者が体の変化を喜ぶ姿、感謝を伝え合うことで生まれる関係性。その一つひとつが、ON-Bright Kidsの支援観につながっている。
同施設が目指すのは、単に預かる場所ではなく、子どもが笑顔になって帰り、親御さんが安心できる場所だ。ダンスや英語、発表会やイベントといった要素は、楽しさのためだけではない。子どもたちが自分の可能性に気づき、「できた!」を積み重ねるための療育の入口でもある。
初めての起業、初めての福祉事業という手探りの中で、三田氏は「一緒につくる」姿勢を大切にしている。立ち上げ期だからこそ、スタッフの主体性や理想を形にできる余白がある。ON-Bright Kidsの挑戦は、地域に根づきながら、子どもと家族、そして働く人の笑顔を育てる場づくりとして始まろうとしている。



